一つの感情として腹を撫でる

 

俺の考える愛ってのはそんな大層なものじゃない。

ケツを突っついたり、大声で喚きあったり、手をつないだり、ただそれだけのことだ。

お金なんて全然大事なことじゃない。

 

俺は息子の腹を撫でるのが上手かった。

彼も腹を撫でられるのが好きだった。

それから、まつ毛をそっとなぞるのも気に入ってた。

布団の中で、いつまでもやってくれとせがんだ。

そして俺は、彼が眠るまでいつまでもそれをやることが出来た。

もっと小さい時は、彼を抱いて一緒に駐車場を見てた。

団地の駐車場に車が出入りするのを見るのがお気に入りだったから。

 

子供に責任を持てって言う人がいるけど、それは違うと思う。

人間はみんな別々の世界に生きてる。

世界に対して責任を持てる奴なんて誰もいない。

 

俺はただ、一つの感情として息子の腹を撫でれないのが悲しいだけだ。

 

空色に着ぶくれ空を見てゐたる

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