マイロはコロウプ達に話を聞いていた。
代々の庭師が育て、そして荒れ果てる裏庭の話を。
「しかし、人間が生を受けて死ぬまでの間、前庭なんていつだってただの玄関なのじゃ。裏庭こそが生活の根源だと思わないかね」
聡明な光を称えた瞳でコロウプは言った。
僕は救われたような温かい涙を流してその言葉を耳に流し込んだ。
そのコロウプは忠告していた。
「癒しとは傷を持つものには麻薬のようなものじゃ。さほど簡便に心地よい筈がない。傷は生きておるのじゃ」
僕はその言葉をこぼれないように両手でしっかりと掬い上げて飲み干した。
ああ、これで僕は大丈夫なのだと思った。
マイロはトンガリ帽子を被ったままで「ここに来て良かっただろ?」と言った。
僕は深く頷いた。