散髪をした。
散髪中に色々と話しかけられるのが嫌なので、いつも物静かなホンダ君を指名している。
ホンダ君は最近ツーブロックにハマっているらしく、僕の頭もそうした方が良いですよと言った。
お任せしていると、中が刈り上げられ、上から被せる感じになった。
「サイドを前に流すとバシっとモード感が出ますんで」
とホンダ君は言った。
鏡にはアホの子のような頭をした自分が映っていた。
現在、風呂上り、頭が濡れているところを後ろへ流すと、ちょうど分かれ目が出来て、かつ刈上げが強調されて、ヒットラーのような具合になっている。
不評だった。
家人にも職場でも、不評だった。
苦しかった。しんどかった。つらかった。
それらが頂点に達した。
所詮僕はもう誰にも求められていないのだ。
僕の肉体に魅力などありはしないのだ。
ただのおっさん。ガリガリのおっさんが苦悶しているだけなのだ。
と自嘲した。
それを見たマイロがケラケラ笑うので、蹴ろうと思う。
ごめん
だから、死ぬなヨ
もぅスグライブだよ〜
テンション上げてこ〜
死にませんです
頑張りますです
イキル