睡眠は切断である。
眠れば一つの現実から切断される。
つらいことがあって眠れないのは、その現実が私たちを離してくれないからなんだと思う。
良きにしろ悪きにしろ、私たちには現実を切断する権利がある。
仏教の世界では、人間は一瞬一瞬で生まれ変わって、決して永遠のものではなく、いわば流動する形をしているという概念があるらしい。
瞬きをする間というのは、私のような凡人にはとても理解できぬけれども、睡眠から睡眠の間であれば、私にも理解できる。
現実を切断して、また新しく始める。
次の日がどうなるかは知らないが、とにかくそうしなければ生きているということは少し冷酷にすぎると思う。