会話を始めた筈だったが、結局、荒れ狂う夜の海に放り込まれただけだった。
今、僕は溺れている。
いつだって良い道を歩いていたらダートコースになっているのだから。
迷走しながら瞑想。
他人はシンプルで簡単な解決方法を指差すけれど、それはあまり良い案とは思えない。
僕にとって良い案とは泥沼のようなアイデアだ。追い込み呑まれ喰われるような。
それでもそれが人間と人間をほどけぬように結び付けるか、あるいは決定的な決裂を生むかしかないというのだから。僕はそれを選択する。
ある人は人生を「ただの大きな過ちだ」と言った。
僕はそれに賛成する。
なぜならば多分、小さな過ちよりも大きな過ちの方がずっといいと思うから。