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2008年11月18日

鏡姉妹の飛ぶ教室  佐藤友哉

鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)
佐藤 友哉
4061824147

もうね、今の小説は凄い。細かい設定とか説明とか、これどうなってんの?なんでこうなってんの?とかっていうレベルは終わった。
リアリティとはなんであるかなんてたいしたことじゃないんだ。
要するに現実っていうのはボクが、わたしが、感じ得るこの世界以外のこと以外の何者でもない。
いきなり中学校が地中に埋まって同級生がズブズブ死んだところから始まるこの小説。
液状化現象とか軽く説明なされてるけど、そんなピンポイントで学校が埋まるほどの液状化現象が起こるのかどうかってのは知らないし、調べたくもない。

むしろこの小説がユヤタンにしてはやりすぎ遊びすぎハハハハハハって爽快な感触が心地良かったりする。
生き残った生徒たちがイカレ人間ばかりでバトルロワイヤル状態になって殺しあう(っていうかあんまり殺してないんだけどさ)。萌え系女子中学生の一人の武器がギターのファイヤーバードなんて意味不明感を出しつつ、普段目立ってない陰気な生徒が急に極悪になって屍姦したり、「お前ら目立つ奴らは無意識に俺らを踏みにじってたんだろうがぁぁああ!!!」って狂いだしたと思ったら「もう外には出たくない。ここで永遠夏休みする」って言い出したりする。ファイヤーバード少女が「弱者なんだからいきなり粋がっても糞は糞のままですよ」とか言ってたりして、学校行ってたら鬱になりそうな会話がいっぱい出てくる。確かにウィッシュ!とか思わせておいて、「本気にすらなったことないくせに偉そうなことを言うな」「それはお前の本気が足りないからだ」と深手を負っても凛とするロンパリ少女がキッパリハッキリ言う。

みんなは本気を出してる?おれは出してないね。それで色々文句ばっかり言ってるね。
これはきっとユヤタンの心象の言葉なんだろうなと思う。
んでやっぱり本気を出すことは全然間違ってないし、本気を信じることはとても正しい。そんで、本気で失敗したのなら本気の本気を出せばいい。

前向き!!!
ユヤタンなのに!!!
救いのない終わり方を無理矢理つけているっぽいけど、まぁサービスなんだろう。
終わりの落ちは鏡家シリーズを読んでいかないとわからないように出来てるからフリッカー式から読んでいってね。

## 鏡家サーガについて
・フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人
・エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室
・水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪
・鏡姉妹の飛ぶ教室 〈鏡家サーガ〉例外編
・クリスマス・テロルは入んないのか・・・

サリンジャーのグラース・サーガをもじって鏡(グラス)家サーガ。んっと、色々な小説の中にその家族それぞれが重要人物として登場する。また、その家族の各々は全てぶっとんでいて、そのぶっとび具合がストーリーに影響する感じ。つまり、一個一個の作品は単独で完結してるんだけど背景として存在している(ユヤタンの場合は少し背景を逸脱してるけど)。なので背景まで知りたいと思ったら最初から読んだ方が掴み易い。でも途中から読んだらわかんないか?って言われたらそれはそうでもなく、きっと楽しめると思うのでお好きな読み方でいいと思うよ。

↓最初はこれから始まった。
フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人 (講談社ノベルス)
佐藤 友哉
4061821962

2008年10月30日

1000の小説とバックベアード  佐藤友哉

1000の小説とバックベアード
佐藤 友哉
4104525022

月末で平日の休み。息子は保育所。つまりは金がなく時間はあるということ。
まだタイトルすら決まっていない小説を書き始めました。
とても書きたくなったから。
この本のせいで。この本のおかげで。

mojoさんってなんだかとても可愛いわ。mojoさんの文章濡れるわ。mojoさんのこともっと知りたいわ。
とか思う変人なは読むことを強くオススメ。

サトウユウヤの本で凄く良かったのは水没ピアノで、これはまったく救いがなくって暗かった。ボクは比較的暗い人間なのでシックリと来た。ローションを使ったオナニーのように。
この本ではユヤタンの進化がみられる。っていうか進化の過程が本になってる。
というのも書けない作家志望の若者が主人公だから。

あらすじ
個人に物語を書いてあげる職業をしている主人公が、その会社をクビになり、ショックで文字すら書けなくなってしまう。でも謎の女の人に小説の執筆を依頼される。ここで「誰も読まなくても全て一字一句残さずわたしが詠みますから」というボッキ台詞が出てくる。とりあえず引き受けるが、文字も書けないので進まない。小説とは何か?
小説はとても力を持っている。小説を書く気持ちで書けばそれは絵画でも小説である。小説が書けない主人公はバックベアードに幽閉される。ホテルの地下の小説家になれなかった人達のための図書館に。仲間の力を借りて脱出。小説とは?という問いに確信のようなものを得る。

wwww。
書けないからバックベアードに幽閉されるってなんだよ!いきなりすぎるよ!
って、でもね、これはそういうお話なんだ。力強く前に向かうお話。
それをそのような心で書けばそれになる。
当たり前かもしれないけれど、本当にそれを疑って疑って疑った後に信じた人だけがそれを知るんだ。

多くの部分で自分のことを書いてるんだと思う。
そんで、そのことをとても確信して書いてるから気持ちのいいものになってる。
なんだか輝くような本だった。
ラストもとても美しかった。

2008年06月14日

灰色のダイエットコカコーラ  佐藤友哉

灰色のダイエットコカコーラ
佐藤 友哉
4062130637

ユヤたん・・・。最近、ハマってます。
比較的古いのから読んで行ってるんだけどこれはブックオフを漁ってたら見つけたのでゲット。
ユヤたんの青春小説かな?
前半は残虐な妄想。後半から一気に来る。そろそろ来る。と思わせてポジ転換。
男の厭らしさ満開!!!

覇王と呼ばれた祖父に気に入られた少年。
祖父は白内障で盲目。でも圧倒的。「肉のカタマリにはなるな。奴らは踏み潰す存在」という刷り込みを与えられてその方向で進むくん。
その方向で上手く行ってた少年は思春期に尊敬できるガイキチ野郎と知り合う。でも彼は自殺しちゃう。残ったのは何もないただのフリーター。肉のカタマリを陵辱すべしと頭に抱いて無為の日々。彼女が妊娠したので仕方なく肉体労働。
でも出産=肉のカタマリ思考。日々の肉体労働は思考を停止させて生活というゲームに没頭させる。色々あって彼女が破水。赤ん坊を自らの手で取り上げるのか?母体ごと見捨てるのか?肉のカタマリになるのか?覇王2世になるのか?どっちが本物なのか?さぁ考えろ!

中盤に出てくるシーンはなんと人ごみをトラックでひき潰すシーン。主人公は有頂天。ハハハ!肉のカタマリが潰れるぅ!って。これってどっかで見たな、ニュースで。この小説では捕まらなかったけどヤクザに捕まってひどいことされてた。「お前も肉のカタマリだって教えてやろう」とか言われて。

っていうかみんな肉のカタマリだっての。

肉のカタマリはは正解。突き詰めたらみんな肉のカタマリだもの。普通だもの。ヒーロー志向な男の子はみんな挫折する。そんで一回はドロドロになって強靭になるんだ。それが父さんだよ。うふ。

少しありきたりだったけど。

追伸、彼女の名前がハサミちゃんっていうんだ。すごく気に入ってる。

2008年06月03日

水没ピアノ  佐藤友哉

水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫 さ 87-3)
佐藤 友哉
4062760223

ボク達は欠けたストーリーを補える。補うことが出来る。
だから突然ストーリーが始まっても楽しんでいけるし、突然終わっても意味を見出していける。楽しめる。
ましてやユヤたん一級の独語ワールド。ぐいぐい引き込まれてfinish。
完全にその辺りをhackingされてぐるっと回されて脳がグラグラ。
great!
王太郎とユヤたんの2本柱で構成される平成のボクの読書世界。

それはとても暗澹たる。


ダークネス。

アメニモ マケズ。